F52 crossdresser トトとゲームオーバーは奇妙に結ばれている。 だからトトは、ゲームが好きである。 ゲームは、ゲームオーバーで終わらない。もう一度始まる。 トトは、トトの気苦労が及ばないところで、もう一度始まるその様子を見ると、 まるでそれが画面の中だけの決まりごとのように見えて、心安らぐのだ。 トトはあまり変態ではない。 麒麟の部屋や服装などは、確かにトトの趣味だが、子供を嬲るために攫ってくるような性癖はない。 性癖で言うならむしろトトより麒麟の方に特徴がある。 過去に、トトが麒麟の相手をしなかった頃があった。 麒麟は悶々としていた。彼はあまり我慢という物が出来る方ではなかった。 そのうち麒麟は、全く見知らぬ人間と、死ぬか死なぬかという遊びをするようになった。 トトはそれを知る。ショックを受ける暇も無かった。麒麟を手放す訳にはいなかった。 そういう風にトトは麒麟の遊びにそこそこ付き合うようになった。 トトは思う。 麒麟が変わった遊びを好みながら、死なずに居られるのは、私のお陰なのだから、 言外のギブアンドテイクが成立しているのかもしれないと。 「新しい顔よー!!」 と絶叫しながら投げる!投げた!わたしなげましたわ。 きりきり舞われるお包丁が おっおっお ざっくり刺さる。刺さらぬ。畳の間だったんで畳に刺さる。と思いきや斜めに刺さりすぎたらしくぱたりと倒られる。 \え〜/ リピートしますわ。スーパースローカメラの映像をご覧になっていただきますわ。 私はね、なんかこう割と重くて長い包丁を投げてね、真っ直ぐ投げたわけじゃなくてね、 横に。大回転。刃のある方向に回転するする。飛ぶ トトの脳天を横カット、そう脳天目掛けたはずなのに微妙に逸れて首あたりか、の感じに。 でなんかね軌道的には当たるに違いなかった。しかし当たらず落下畳刺し倒れた。 おっお リピートした訳ではないんだよ。スーパースローカメラとか無いです。 一瞬の出来事を、覚えてる目が覚えているところを繋いで繋いで、場面になりゃよいと そういうそれなのでもうちょっと詳しくもういちどリピートだ 私が包丁を投げたもうちょっと前からね うーん… 私はねボスキャラの威厳というか、 携帯様を越して見てきてるこの争奪戦だが その中心に居る、いや、中心の真上、で見物をなさっている トト先生のこれ、戦闘力が ボスキャラな値ならばね、 飛んでくる刃物ぐらい どうってことないのではと そうなら見てみたい 確かめたいし、 そうでなければもうね、 好奇心で刃を投げて当たった 私がラスボスだと やったぞとガッツポーズを隠しながら こう、投げた、投げて数フレーム後、後悔した だってトト先生ビドウだにしないもの 当たっちまうよと切れちまうよと ああトトは戦闘力ないサイドの人だったんだねと まあでもガッツポーズは固めたまま で、 その投げたもののトト方面へ進む速さ、 は割とありつつ、そして至近距離で投げたの。回転の速度はややおそくてね それで、どう見てもトトを二分割する道を通ってるようにしか見えないが ぎりぎりで当たらない軌道を通ったと! ハアだろ 当てる気で投げたんだぜ いや、 それは良いとしよう、コントロールの無さに問題があるとしよう、 肩に爆弾を抱えているとしよう、寧ろ爆弾の肩だったとしよう。二つの意味で。 だがね、こんな微妙の軌道をよくもまあ避けずに当たらないと踏んで動かずにいれるねと いや、 確かに私が想定してた、飛んできた刃物は常に避ける説よりも、 当たるか当たらないか微妙な投擲物を、当たらないものだけ動かずに避けるとか おお確かに少年漫画的というか いや、まて、こりゃなんだ。これはそういうボケなのか。トトはツッコミ待ちなのか。 で、さっきから姿を見るまいとしていたトトのその、むすうっとした顔も見えちゃったよ画面端に。 その表情は、もうね、全く、 驚いては無い。怒っても無い。むすうっとしてるだけ。そもそも私が何をしようとトトが怒り出す訳が無いんだが、 しかし、それがまた、なんか、無感情・無表情・高性能、っつー 全部足して満貫あたりまで到達すんじゃねえのってくらい抱き合わせ商法で 「あ、あはは」 とそうなった。 まああれよ 畳つーだけあって和室ですよ 引き攣った笑顔を湛えて、カルタを再び再開、再と言う字を被らせながら、再開するためにね、 そりゃあ和室っつったらカルタですよ 他に何をする カルタっつったら普通のカルタですよ 別に今日は正月とかじゃないけど 悪いですのかと とは言っても別にツンあれカルタじゃないんだよ 前にも似たようなことを…いや…。 嘘。カルタとかねえよ。和室ってつまりゲーム部屋だ。 古いゲーム機ってのは畳の上に置く物って決まってんだよ。ほんとかよ。 カルタがらみの嘘話はね、 もう全く別の事の脳内文による説明で意識を散漫とさせようという試みだった もう私の物投げからどれだけの時間が過ぎたかもわからぬ   が、おかしいよ、やっぱおかしいよ。どういうこと。 どういうことかな氷の十字路篇。編だっけか。 だめだ。隙あらば別の事考えようとしている。正面から見つめよう 飛んできた包丁に気付かなかったわけではない。もしそうなら飛ぶのをやめたあと包丁にビックリするはず。 無表情だったよなあ。無表情だった。 包丁の存在には気がついているがよける必要は無いとそう思われた。 ということは、トトは首上と首下がバイバイしたとしても どうってことないという自信があったとそういうことだ。それしかない。 飛んできた物の気配や空気の流れを皮膚と鼓膜で感じ取り、 自分には当たらないと一瞬で踏んだとその可能性は否定させてもらう。 それはギャグだ。何道の何流の何段持ちならそんなこと出来るんだ。 私が投げようとしているモーションで投げ物の向きを知るのは、ギリ不可能とは言えないかもしれないが、 それでも微妙な軌道が投げのフォームで分かるはず無い。 何球の何リーグの何球団の監督ならそんな事出来るんだ。 よって当たるかどうかは前もって知る事はどんな超能力があっても不可能と大断定。 となるとやっぱりそうだ、 トトは首が刎ねられても死なぬ自信、があった、ということか。 不死身とかそういう? 傷がふさがっちゃうとかそういう? ワオ! んーまあね 私が爆弾だったり 要するに非・人間的な性能を持っててもやっぱり自分以外に そこまで露骨な人外は知らんもんで ちょっと人間じゃない、ぐらいなら許容できなくはないけどさあ 首元に刃がかすって頚動脈がスパッといっても元通りにできる能力とかなら…いや、これなら許容できるとか言ったけど かなり ないわ でもアレなんだよ、そう、当たるかどうか分からないんだから、かするかどうかも当然わかんないはずなわけで やっぱどう考えてもそれは分からないはずで けっこ重い刃だったし 二分割されても死なないってのは流石に… 死なないって、どうやって死なないんだ。 くっつくの?身体から新しい頭が生えるの?頭から身体が生えるの? それとも首と身体が繋がってなくても平気ってこと?不死身系? もしそうなら肉体がどうなろうと意識が生き続ける、外見は青年だけど中身はご年配みたいなボスキャラ性能が… んー 本人に聞きゃいいんだよ この至近距離なら それが出来るんだからよう 「あのトト、おまっ、トトよお、トトさん、貴方の身体には凄い再生能力とか、カンスト防御力とか、  あるのかなー、なんて。いやもしそうなら笑ったるわと思って聞いただけなんだけど」 質問の意味がわからねーかなーと思ったけど 即答だった。いやトトは黙ったままなんだけど。 要するに首を振った。横に。 「その首振りは、その、否定とみなすよ?つまり、頚動脈がスパッといったら流石のトト様も死ぬと」 即答。 トトは首を振った。横じゃない方向に。それ頷くって言うんだよ。 ええ〜 「私が投げた包丁は、自分に当たらないと、瞬間的に察知か予知をしましたか?」 トトは首を振った。横に。 ええ〜 でもなんか もういいなと思ったよ。 私の脳の疲労が齎すものなのかどうかは知らないけれど、 やけにあっさり諦められそうな気がしました。 つまり私の考えたどっちパターンでもなかった訳だからどうせ鬼面倒なあれこれが待ってるに相違ナイ